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学校関連

AED講習を通じて小さな勇気が命を救うことを学ぶ

今回訪問したのは、神奈川県・相模原市立向陽小学校。神奈川県によるかながわAED宣言のクリアファイル贈呈式と、救急救命士&オムロンによる救急救命講習におじゃまして、お話を聞いてきました。

近くで人が倒れたら? 助けるために知りたい!

学校のどこにAEDが設置されているか、知っているかな?

学校のAED設置場所のイメージ

AEDが設置されている職員玄関は正門からすぐの距離。学校の近くで誰かが倒れたときにも、持ち運びしやすい場所にある

今年も、神奈川県とオムロン ヘルスケアによる、AEDのクリアファイル贈呈式と救急救命講習が行われるということで、取材にやってきました。今回の会場は、JR横浜線相模原駅から歩いて10分ほどのところにある相模原市立向陽小学校です。

正門を通り校舎へと進むと、職員玄関の右手に設置されているAEDが見えました。何気ない場所に置かれているようですが、AEDの設置場所は次のようなことを考えて決められているのです。

  • 入口のように、多くの人が通る場所やふだんから目に入る場所など、みんなにわかりやすい場所。
  • 鍵がかかっておらず、必要なときに誰でも使える場所。
  • 学校では、運動場や体育館など、誰かが倒れる可能性が高い場所。
  • 学校の近くで倒れた人がいたときに、できるだけ早く持っていけるよう、持ち運びしやすい場所。

向陽小はすべての条件をクリア! 写真にAEDが写っていないのは、撮影したときに水泳の授業が行われていて、プールへ移動していたためです。もしプール指導中に児童が倒れてから、AEDを職員玄関まで取りに行っていたら、時間がかかってしまいます。いざというときに備えてAEDを移動して準備している先生たち、さすがですね!

副校長先生に聞きました!

向陽小学校 副校長 大貫先生のイメージ

向陽小学校の副校長を務める大貫先生

Q.これまで学校で実際にAEDを使ったことはありますか?

A.幸い学校でこれまでにAEDを使ったことはありませんが、先生たちは全員でAED講習を受けて、いざというときに命を助けるために勉強しています。講習は毎年プール指導が始まる前の6月頃に、消防署の職員の方に来ていただいて行っているんですよ。

神奈川県健康医療局 保健医療部の前田部長から児童代表へクリアファイル贈呈のイメージ

神奈川県健康医療局 保健医療部の前田部長から児童代表にクリアファイルが贈呈された

今回は4年生の4クラス、152名が対象です。はじめに、神奈川県健康医療局 保健医療部の前田部長から児童代表にクリアファイルが贈呈され、続いてお話がありました。

救急隊が到着する前にAEDを使えば、使わなかったときより命が助かる確率が上がります。しかし残念ながら、実際の救急現場でAEDが使われることはそれほど多くありません。そこで、神奈川県では一人でも多くの命を助けるために、県民の皆さんにAEDのことを知ってもらう取り組みを行っています。そのひとつとして、今回は向陽小のみんなにAEDの授業を受けてもらうことになりました。」できるだけ早くAEDを使うことで、命を助けられる可能性が高くなる――そう聞いて、児童も真剣な表情に変わりました。

オムロン ヘルスケア事業推進部の岩田部長のイメージ

講習によって、一人でも多くの人が救命活動にかかわれるようにという、オムロンの願いを伝える岩田部長

続いて、オムロン ヘルスケア事業推進部の岩田部長からは、今日の講習の内容をひとつだけでも覚えて、みんなの近くで人が倒れたときに今日覚えたことをできるようになってほしいというお話がありました。

インストラクターの質問に元気良く答える児童たちのイメージ

インストラクターの質問に元気良く答える児童たち

いよいよ救急救命講習の始まりです。オムロンのインストラクターから児童に、最初の質問です。「みんなは学校のどこにAEDがあるか知っていますか?」「知っているよ!」と元気に手をあげる子、「どこにあったかな?」と首をかしげる子、児童の反応はさまざまでした。答えは職員玄関です。「せっかくAEDがあるのにどこにあるか知らないと使えないよね。知らなかった子は帰りに確認してみてください。」これでみんないざというときに、AEDの場所を知らせることができますね。

AEDを使って人を助けるには、どうしたらいいのかな?

オムロンのインストラクターから児童に、次の質問です。「AEDのパッドには、子ども用と大人用がありますが、学校のお友達が倒れたらどちらを使いますか?」電気ショック時に体に貼るパッドには子ども用もあるのですが、実は子ども用を使用するのは未就学児までで、小学生以上は大人用を使用します。そう、答えは大人用です。子ども用は電気ショックのエネルギーを抑えており、小学生では電気ショックの効果が不十分となるおそれがあります。そのため、学校に設置されているAEDも大人用なのです。勘違いしやすいことなのですが、この質問には、ほとんどの児童が正解! 詳しくは、以前の記事を参考にしてくださいね。

参考:小児用AEDは何歳まで使えるの?

続いて、神奈川県の救急救命士とオムロンのインストラクターが、AEDを使ってどうやって人を助けるのか、救命の流れを実演します。後ろの列に座っている児童がひざ立ちで身を乗り出して聞いていたり、胸骨圧迫の実演を見ながら、それぞれ持ってきていた防災頭巾で練習をしたり、真剣に学ぶ児童の姿が印象的でした。

実演のイメージ

後列の児童はひざ立ちで実演に見入っていた

防災頭巾を使って胸骨圧迫の練習をする児童たちのイメージ

防災頭巾を使って胸骨圧迫の練習をする児童たち

次に、代表として選ばれた3人ずつ4組の児童たちが、救命活動に挑戦! はじめは恥ずかしがっていたり、どうしたらいいかわからずにインストラクターの指示を待っていたりした児童たちも、徐々に慣れて積極的に行動できるように変わっていきました。その様子を見て、「実際に体験することは大切なんだ」と改めて実感しました。

1組目 胸骨圧迫体験のイメージ

1組目は恥ずかしがりながらも、一生懸命に胸骨圧迫をしていた。体験に参加したオムロンの岩田部長が、動きに合わせて手拍子をすると、会場のみんなもあとに続いた

2組目 胸骨圧迫体験のイメージ

2組目は前田部長が参加し、児童と交代で胸骨圧迫を行った。AEDの操作を担当する児童は、インストラクターからパッドの貼り方を教わっている

2組目 AEDの操作体験のイメージ

パッド装着完了! さあ、AEDのボタンを押してみよう! 見ているこちらにも緊張が伝わってくる

3組目 体験のイメージ

3組目になると、AEDの音声指示を聞いて行動できるようになっていた。突然参加することになった担任の先生だが、毎年受けている講習の成果か、胸骨圧迫はとても上手だった

4組目 体験のイメージ

4組目は、学年主任の先生と児童がいっしょになって、積極的に救命活動をしていた。これなら何かあったときも大丈夫そう!

学年主任の先生に聞きました!

向陽小学校 萬徳先生のイメージ

向陽小学校4年生の学年主任の萬徳先生

Q.今回の救命講習を受けた児童の様子を見て、感想をお聞かせください。

A.救命講習というと大人向けの内容と思われがちですが、子どもたちにも十分興味深いものだったようで、真剣に話を聞き、積極的に体験する姿勢が印象的でした。ふだんは体験できないことを体験できる、非常に意味のある講習だったと思います。

AEDの設置場所を調べてみよう!

最後に神奈川県の職員の方からお話があり、AEDの設置場所の検索方法が紹介されました。体験のあとということもあり、児童たちはプリントを見ながら真剣に説明を聞いていました。

「AEDはどこにあるの?」プリントのイメージ

AEDの設置場所の検索方法が記載されたプリント

AEDの設置場所の検索方法紹介のイメージ

児童たちは配られたプリントを見ながら真剣に話を聞いていた

神奈川県には日本で2番目に多くのAEDがあり、設置台数は約1万8000台! 学校や交番などさまざま場所に設置されています。
AEDの設置場所は、パソコンやスマートフォンで調べることができます。

参考:どこに行けばAEDがあるの?

救命講習を受けた児童たちが、どんなところにAEDがあるのか家族と調べたり、学習したことを家族や友人に伝えたりすることで、AEDがもっと使われるようになれば、より多くの命を助けられるかもしれません。

救命講習に真剣に取り組み、しっかり理解していた児童の様子を見て、救命率向上の大きな原動力となるのではと感じられました。

神奈川県の救急救命士の方に聞きました!

救急救命士 鳥島さんのイメージ

救急救命士の鳥島さん

Q.これまでAEDを使った救命講習に参加した児童からの感想で、印象に残っているものを教えてください。

A.神奈川県は2年前から希望をいただいた小学校の4年生向けにAED講習を行っていて、今年度で延べ100校以上の小学校で講習を実施することとなります。

救命講習を行う前は「AEDを使ったことがない」と言って戸惑う児童がほとんどですが、AEDが音声で使い方を案内してくれることを知ると「自分でも使えそう」とわかってもらえるので、やはり実際に体験することが大切なのです。

また、「帰ったら講習で学んだことをお家の人に教えてあげたい」と言ってくれる子どもが多く、家庭内のAEDの認知度の向上に繋がっていくことも期待しています。そういった意味でも、小学生の子どもたちに向けて講習を行う大切さを実感しており、これからも続けていこうと考えています。

Q.ほかのAED普及活動について教えていただけますか?

A.小学校4年生向けのAED講習やクリアファイルの配布のほかにも、神奈川県の庁舎公開の際にAEDの体験ブースを設置したり、AEDについて楽しく学べる動画を作成したり、さまざまな取り組みを行っています。この動画は、YouTubeの「かなチャンTV(神奈川県公式)(※)で配信されています。お家の人やお友達もいっしょにぜひ見てみてくださいね!

※「かなチャンTV(神奈川県公式)」は、神奈川県の取り組みや魅力、県民の皆さんが知りたいことを、動画で伝えるために、神奈川県が運用しているYouTubeチャンネルです。

かなチャンTV「迷わず使う! その勇気がいのちを救う!」

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