「ドラッグストアショー」に行ってきました!
今回は、「第18回 JAPANドラッグストアショー」に参加してきました。ヘルス&ビューティ系のイベントではアジア最大級の同イベントに、オムロン ヘルスケアもブースを出展、さらにメインステージではAEDを使った救急救命講座も開催しました。たくさんの方に興味をもっていただきましたよ!
老若男女を問わず関心が高かったAEDと救急救命
オムロンブースは朝一から大盛況!
今回は、「第18回 JAPANドラッグストアショー」を取材してきました。同ドラッグストアショーは、国内のドラッグストアチェーンで組織する業界団体(日本チェーンドラッグストア協会)によるイベントで、ヘルス&ビューティケア関連商品を集めたアジア最大級の規模を誇る展示会となっています。
2001年から毎年開催されているこのイベント、18回目となる今年は、3月16日から18日までの3日間(一般公開は17、18日の2日間)開催されました。開催期間を通じて12万6066名もの方が来場されたそうです。今回取材したのは土曜日ですが、その日だけでも4万6373名と、お子様から高齢者までたくさんの方が来場されていましたよ。
そんな一大健康イベントに、今年もオムロン ヘルスケアは出展しました。オムロンブースの内側は、「大切な人の健康をまもるために」と題したスペシャルシアターとなっており、健康や血圧、AEDに関する10分間のミニムービーが上映されていました。もちろん、ブースの周りにはAEDや血圧を測る「健太郎」などのオムロン製品も展示していました。
この日最初の上映は、開場して間もない午前10時10分。はたして、イベント開始直後の朝一番から多くの方に来ていただけるのか……? そんな心配をよそに、ブースは超満員!
人だかりを目にし、「何だろう?」と興味本位から見始めた方も多かったようですが、救急救命の現状やその大切さ、実際の救命法などが映像で流れると、皆さん画面に釘付け。最後まで真剣なまなざしでご覧になっていました。入りきれずに外で立ち見の方もいらっしゃるほどの盛況。ご来場いただいた皆様、ありがとうございました!
上映終了後、ご覧いただいた方にはオムロン特製のアメニティーグッズ(詳しくは、「ここにも注目!」で)をお渡ししました。これを機に、ご家庭でも健康や救急救命・AEDについての理解を深めていただければと思います。映像をご覧になった方のなかには、実際にブースの周りに展示してあるAEDや血圧計などに触れたり、熱心に質問されたりする方もいらっしゃいました。
とくにAEDについて質問された女性は、子どもの心停止のことを熱心に尋ねられていました。高齢者だけでなく、お子様の万一を心配される方も多いようですね。そのほか、実際に「健太郎」などの血圧計を試す方や、血圧について質問している方もいらっしゃいました。
オムロンブースを離れて会場内に目を移すと、各ブースにはさまざまな医薬品や化粧品、健康食品などが展示されていました。試供品を配っているブースも多数あり、行列のできているところがたくさんありましたよ。なかには西部劇で商品紹介をするところや、プロのアーティストがラップで「Everybody say●●●!」などと商品を紹介するライブを行うなど、趣向を凝らした催し物が目白押しでした。
メインステージのAED講座も満員御礼!
一方、毎年目玉イベントが行われるメインステージでは、「イチから楽しく学ぼう!簡単AED講座」が始まるのを、皆さん今か今かと待っていました。このイベントは、家族・友人のもしものときとっさに動けるよう、著名人といっしょに楽しみながらAEDの使い方を学べる内容になっています。
そのステージのそばにも、オムロンのAEDを発見! ここだけでなく、会場内に複数設置されているのを見かけました。何かあっても対応できる体制を整えているところは、さすが健康イベントですね。
そして、ついにステージが始まる時間に。登場したのは、プロレスラーの蝶野 正洋さん、同じくプロレスラーで柔道家、さらに我孫子市議会議員という異色の肩書きをもつ澤田 敦士さん、「侍戦隊シンケンジャー」でシンケンブルーを演じていた俳優の相葉 裕樹さんの3人。
なかでも蝶野さんは、2013年から毎年ドラッグストアショーのAED講座に登場し、日頃から救急救命の啓発活動を行っているなど、AEDと救急救命に関する知識が豊富です。
まずはビデオの上映から。実際に心停止になり、残念ながら亡くなられた方や、かろうじて助かった方などの実例をもとにしたイメージビデオになっています。「AEDがあれば……」という悲しい内容に、皆さん神妙な面持ちでスクリーンを見つめていました。
以前もこのビデオを見たことがある蝶野さんは、「若い人でも心停止が起こることがある。以前は突然倒れた人がいても、医師など特別な資格をもった人しかAEDを使えなかったが、今は一般市民でも使える。とくに若い人たちに知識だけでも身につけていただければ、いざというときも対応できる」と訴えました。
一方、澤田さん、相葉さんはこのビデオを見るのは初めて。議員としてAEDの普及に尽力している澤田さんが、「AEDを使うことで社会復帰率が大きく違う。みんながしっかりと使えるようにしていきたい」と語ると、相葉さんは、「人ごとではないな、と思った。いざというときに備えてこういう機会をもつことは大事。うまく言えないが、映像を見ていて胸がギュッと苦しくなった」とコメント。これには会場の皆さんも大きく頷いていました。
ここで、オムロンのインストラクターが登場。AEDを使った救急救命講座が始まりました。インストラクターが、「新聞などで、交通事故や火災事故の記事はよく見ますが、心停止の人の記事はあまり見かけませんよね? なぜでしょうか?」と問いかけます。実は、心停止の件数が少ないわけではなく、交通事故や火災事故と比較すると多過ぎて珍しくないので記事にならない、というのがその答えでした。2017年の消防庁と警察庁の統計からもそれは読み取れます。とくに心疾患を抱えているわけでもない健康な方にも、突然起きているのです。
続いて、心停止の時間と生存退院率についてです。生存退院率は心停止の時間経過とともに下がります。データによると、119番に通報してから救急車が到着するまでの平均時間は8.5分。そこから計算すると生存退院率は約20%となってしまいます。さらに、発見してから通報までにはタイムラグがあるため、実際には救助が始まる時点で10分以上が経過してしまうことになるそうです。その時間をデータにあてはめると、実はほとんど助からないことになってしまいます。この現実を伝えると、会場は重い雰囲気に包まれました。
「ですから、皆さんには救急車が来る前に手当てをしていただきたいんです」と、インストラクターは続けます。現状では、実際にAEDが使われるのは約4.1%。しかし、データによると、119番通報しただけでは8.5%だった生存率は、胸骨圧迫を施すとそれが約17%に増え、さらにAEDと併用すると、半分以上助かっていることがわかります。
それほど効果的なのに、なぜ使われる機会が少ないのでしょうか? やはり、知識などに不安があるため、AEDを使ったことで悪い結果になることを警戒し、ためらってしまうということもあるのかもしれません。そんな心配に応えるように、インストラクターが「善意の救護者は法律で守られている」と伝えます。一般の人がAEDを日本で使用できるようになってから13年たっていますが、これまで救護のために使って罰せられた人はいないそうです。
また、「もしも心臓が動いているのにショックを与えてしまったら……?」という心配に対しても、「パッドを貼ってからAEDが最初にする仕事は、心電図を計測すること。倒れた人の心臓が正しく動いていたら電気ショックは与えない」と伝えました。こうしたことを理解したうえで、勇気をもって少しでも早く救命する、ということを目指したいですね。
AEDと救急救命に関する知識を身につけたら、次は会場の皆さんもいっしょに心肺蘇生の体験です。まずは、インストラクターが次のような見本を見せます。
- 倒れている人を発見したら、まずは周囲の安全確認(左右、上下、前後)
- 確認後、傷病者に近づいて、意識の確認(両肩をだんだん強く3回 ※半身マヒの可能性があるため両肩)
- 意識がなかったら、①119番通報 ②AED ③応援の人の要請(相手も認識できるように、目を見ながら指さして)
- 意識がなければ呼吸の有無を確認(胸の動きを6秒で確認する)
- 呼吸がなければ、すぐに胸骨圧迫を開始(呼吸の有無の判断がつかない場合は、「呼吸なし」と判断)
とくに胸骨圧迫の場面では、皆さん「こんなに力を入れるの?」と驚いていました。胸骨圧迫までの流れをひととおり理解できたら、今度は実践です。ステージ最前列のお客さんには、心肺蘇生トレーニングツールの「あっぱくんライト」が配布されています。科学的データに基づいて作られた心臓型樹脂は、約30kgの圧力で押すと、「キュッキュッ」と音が鳴るようになっているそうです。
実際に押してみると、格闘家である澤田さんでも「硬い! けっこう力がいる」とのこと。一方、さすが経験豊富な蝶野さんは「手で押すのではなく、ヒジを伸ばして体重をかけて」と皆さんにアドバイス。圧迫する姿にも安定感があります。 「だいたい5センチ、単三電池1本分の長さまで押し込んでください」とインストラクター。その呼びかけに、「骨が折れることはないのか」との質問がありましたが、実際の救命の場面ではやはり折れることもあるとの答え。
それでも、「命が助かれば、骨折はあとから治せます」には、皆さん納得の表情。『JRC蘇生ガイドライン2015』に則り「1分間に100~120回」の圧迫を続けます。
会場の最前列でがんばっている多くは女性でしたが、力を入れるのが難しいようで苦戦していました。しかし、やり続けるうちに「キュッキュッ」と音が出るようになり、「あ、鳴った」との声。やはり、初めてでは力の加減がわからないようです。体験しておくことの重要性を改めて感じました。
知り合いと参加した方は代わる代わる試していましたが、一人で続けるのは大変そう。「だから応援を呼ぶことも大切なんです」とインストラクター。
ひととおり理解できたら、今度はステージ上で人形を使ったリアルなおさらいです。
まず、蝶野さんが倒れている人を発見! 安全確認、意識の確認、応援要請のあと、「呼吸の確認6秒ですね」とてきぱきこなします。そして、直ちに胸骨圧迫、さすがに上手です。
相葉さんがAEDを取りに行っている間、蝶野さんが疲れてきたので澤田さんに交代。そこへAEDを持って相葉さんが到着。皆さんが協力して何とかパッドを貼り、心電図計測が始まりました。
この計測中は、音声ナビゲーションに従い、傷病者に触れないようにするのがポイント。理由は、触った人の心電図を計測して誤った結果が出てしまうことを避けるためです。
計測の結果、ショックが必要との判定が出たため電気ショックを行います。この電気ショックを行う際も、ショックを与えるための電流が分散することを防ぐために傷病者から離れます。
ショックを与えたあとは、再び胸骨圧迫。今度は相葉さんに交代です。初めてにしてはしっかりと圧迫できていました。再度心電図を計測したところ、今度はショック不要。無事心臓が動き出したようですね。
救助が終わると、皆さん汗だく。体力自慢のプロレスラーでさえこの様子ですから、やはりいざというときは大勢応援が必要になるということが想像できます。
蝶野さんが、「(イベント時は救急救命の実演を)毎回やるんだけど、いつも間違えないか心配になる。やはり一人では心細いから、知識のある人が増えると心強い」と言うと、相葉さんも「初めてだとどうすればいいか戸惑うはず。日頃から体験しておくことは重要」と続けます。
それを受けて、澤田さんは「でも、やることを機械が教えてくれるのでありがたい」とのこと。そうなんです。電源ボタンを押せば、あとは音声の指示どおりにすればいいのも、オムロンのAEDのいいところ。
さらに、蝶野さんが「心臓が止まっているかどうかにかかわらず、AEDは持ってきたほうがいい。ふだんから近くのAEDを探しておいてほしい」と提案します。以前、本サイトでもこちら で、近くのAEDの見つけ方をとりあげました。ぜひ確認しておいてくださいね。
最後は質問タイム。お子様のことが心配な親御さんが多かったようで「子どもの場合はどうしたらいいの?」という質問がありました。子どもへの胸骨圧迫のポイントとして、
- 子どもへの胸骨圧迫は、胸骨が3分の1沈むくらいの力で(子どもの身体状況に応じて片手で行うケースや乳児であれば指で)
- 生後28日以降であれば、AEDも使える
- AEDやパッドは子ども用もあるが、6歳、つまり幼稚園まで(未就学児と呼ばれる)。小学生以上は大人用なので注意。
などをお伝えしました。
続いての質問は「心臓マッサージの位置がわかりづらい。どこを押せばいいの?」というもの。ここはぜひ覚えておいて欲しいポイントなので、会場の皆さんといっしょに胸骨を探してみます。
まず、鎖骨をたどって首の下にある「グリグリ」2つを探します。そこからおなかに向かってまっすぐに伸びた、指2本分くらいの幅の平らで細長い骨が胸骨です。圧迫する位置は、この胸骨の真ん中より少し下の部分になります。
ただし、緊急時にこれを思い出すのは難しいため、「脇の下に手をはさんで、そのまま中央にスライド」というかたちで覚えていただきました。
最後に、インストラクターから、「これだけは覚えておいていただきたい3項目」をお伝えしました。それは、
- 119番通報する
- 心臓マッサージをする
- AEDを持ってきたら電源ボタンを押す(あとは音声の指示どおりにする)
の3つです。これだけでも確実にこなせば、救命率がぐんと上がるはずです。ぜひ皆さんも覚えてくださいね。
イベントの最後は、出演者の皆さんの言葉で締めます。
蝶野「知識がないと何もできない。みんなが知っていれば安心な街になる」
澤田「AEDは増えているが、使い方がわからない人が多いので、ぜひみんなに知ってほしい」
相葉「知識もそうだが、意識も変えないと。実際に動けるかどうかは、ここで学んだことを周りの人々に伝えてもらうことでも変わる。自分は元ヒーローなので、皆さんの笑顔と健康を守りたい」 とのお言葉をいただきました。会場では、イベント終了後もオムロン社員にAEDや救急救命についての質問がいくつもあり、関心の高さをうかがい知ることができました。
~ こんなこともありました ~オムロンが目指す「ゼロイベント」とは?
日本人に多い「高血圧」による死を「ゼロ」に
当日オムロンのブースに大きく書かれていた「ZERO EVENTS」の文字。これは、オムロンが危険な疾病の発症(イベント)を「ゼロ」にしようとの願いを示すものです。
日本人の死因の1位は「がん」ですが、続く2位の「心疾患」(心筋梗塞や狭心症など)、3位の「脳血管疾患」(脳梗塞や脳出血など)の原因としてあげられるのが「高血圧」です。
高血圧は自覚がないまま死のリスクを抱えている人も多く「サイレントキラー」とも呼ばれます。いったんそうした疾病が発症してしまうと、たとえ一命を取り留めても、体が不自由になるといった、重い後遺症が残るかもしれません。
日本の「平均寿命」は80歳を超えていますが、<健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間>を意味する「平均健康寿命」は、男女ともに70歳台となっています。つまり、健康的な生活ができず、10年以上寝たきりで過ごす人も多いというわけです。
そこで今年のドラッグストアショーでは、ブースやイベントステージで「ゼロイベント」を説明したシートのほか、クリアファイル、かわいいクマが描かれたハンドタオルなどのアメニティーを配布し、啓発に努めました。
なかでもクリアファイルは、単に資料を保存できるだけではなく、中面とウラ面に「ゼロイベント」に関するマンガ『今日も下版はできません』の特別編が描かれています。
これは、印刷業界の裏側をテーマにした人気マンガ。ここでは、「ゼロイベント」が社内の目標となり、登場人物がオムロンの血圧計を使った結果「仮面高血圧」だとわかって……、という話が展開。「健康を維持するには、日々血圧を測定しなければ!」という気になるお話でした。
なお、この「ゼロイベント」については、特設サイト を設置。高血圧の恐ろしさやその診断基準、家庭血圧の重要性、血圧計の正しい使い方など、さまざまな情報をご提供しています。ぜひご覧くださいね!