地域の見守りにも貢献
今回は、「紀州農業協同組合(以下、JA紀州)」様にお話を伺いました。「南高梅」や甘くておいしいミカン、花のスターチスなどの産地で知られるこのエリアは、のどかな田園風景が広がっています。心落ち着く美しい風景が広がる一方、移動に難がある高齢者にとって買い物はひと苦労。そんな皆さんの救世主となる移動スーパーにAEDが設置されているということで、取材してきました。
車載ならAEDがないエリアでもケアできる
紀州農業協同組合

紀州農業協同組合は和歌山県御坊市湯川町に本店を置く農業協同組合。同エリアは御坊市、日高郡6町、田辺市龍神村からなる県下一の農業地帯に位置し、日高川をはじめ大小河川の豊かな水資源と緑あふれる山々など、美しい自然の恵みを受け、一年を通じてさまざまな農産物が生産されている。
多くの高齢者の救世主となる移動スーパー


回るエリアも違うため、1台ごとお客様に合わせた商品ラインナップとなっている
JA紀州様は、農業を中心として農家に限らず地域の人々のくらしづくりを目標に、地域に根ざしたスーパーの「Aコープ」などを運営している協同組合です。同エリアは高齢者割合も高く、お年寄りにとっては交通の便が悪いところも多いことから、買い物をするのに苦労されている人は多いとのこと。そこで、JA紀州様では、移動スーパー「とくし丸」を展開しています。
「とくし丸」は、徳島県に本社を置く「株式会社とくし丸」が運営する移動スーパーです。
コンパクトな軽自動車1台に400品目ほどの品を搭載し、足の不自由なお年寄りや交通の便が悪いエリアへ生活に欠かせないアイテムを届ける救世主となっています。JA紀州様は同社と契約し、販売員の徳島での研修から販売地域の設定、販売宅の開拓作業など、3カ月ほどの準備期間を経て、2015年9月にスタートしました。

お話を伺った購買部の谷様(左)と、総務部 総務課の西端課長(右)
ご利用になるお客様の年齢は70~100歳までとやはり高齢者が多く、買い物に不自由をしている方の助けとなる同サービスの評判は上々とのこと。1台あたり、週2回、30~40カ所を一度に回るといいます。基本的には依頼のあった個人宅を回りますが、場所によっては広場に止め、近所の方が10人ほど集まるところもあります。そんな人気の「とくし丸」ですから、2015年9月に1号車が登場して以来、「うちもうちも」というご要望とともに増え、JA紀州様では現在8台が稼働中です。
近年はネットスーパーなどのサービスもありますが、本当に必要とする高齢者にはまだまだハードルが高いもの。それに、お客様にとっては、実際に手に取って商品を選べる買い物は楽しみのひとつにもなっています。対面販売ということで、話し相手ができることも人気の理由です。
そんな「とくし丸」は、お客様の多くが高齢ということもあり、単なるビジネスを超えた、地域の「見守り」の意味も大きいでしょう。もともとJA紀州様では、多くの高齢者向けイベントが行われており、そこで何かあったときのためにAEDを用意していたのですが、軽量コンパクトなオムロンのAEDなら持ち運びも楽だそうです。実際にイベントで倒れる方がいたこともあり、その際はすぐに救急車が来て搬送されたそうですが、そうした事態に備えることを痛感したできごとだったといいます。
ドライバーにもお客様にも大きな安心をもたらすAED


遠くから見ても目立つAEDのステッカーと助手席に設置されたAED
こうしたことから、いざというときに備えて「とくし丸」にオムロンのAEDを設置することとなりました。まず2019年にその時点で稼働していた6台に設置され、「とくし丸」の増加に伴い合計で10台まで増えています(うち、「とくし丸」には1台ずつ8台が、残る2台は店舗に設置)。
このニュースは地元紙で取り上げられていることもあり、オムロンのAEDはお客様の認知も高いようで、車に設置されたAEDについて聞かれることもあります。話題作りにもひと役買っているようですね。
地域貢献・社会貢献という位置づけの「とくし丸」へのAED設置ですが、顔なじみのドライバーがお客様の顔色やお体の具合を確認できるということもその意義を高めています。見守りという意味では、日頃から対面していることでお客様の体調変化に気づけることもあります。これは顔の見えないネットの向こうで買い物を完結できてしまうネットスーパーにはできないことだといえます。何かあったときのためのAEDがあればより安心してお買い物いただけることでしょう。


お客様と顔をつきあわせて対応する際にAEDは大きな安心材料になる
実際にAEDを乗せて回るドライバーさんに、オムロンのAEDについてご意見を伺うと、「軽量コンパクトなので普段も邪魔になりにくいし、いざというときの持ち運びもラク」だそうです。AEDで場所を取ると積み込める荷物が減ってしまいますが、オムロンのAEDは助手席にぴったり収まり場所も取らないのが好評のようです。ほかにも、「ケースが赤で目立つ」といった感想をいただきました。実際に講習で使った際は、「簡単に使えた」「音声ガイダンスがわかりやすかった」とのこと。「とりあえず電源を入れて、あとは音声の指示に従うだけで使える」安心感があるのもよかったそうです。
ドライバーの方は、各ご家庭に訪問してただ物を売るだけでなく、ときには室内にお邪魔して「電球を替える」などの困りごとに対応することもあるそうです。ご家族からも定期的に様子を見てくれるように頼まれるなど、この事業は人間同士の信頼関係で成り立っているといいます。そんなお仕事ですから、「車にはAEDのシールを貼って移動しており、地域の方に安心感を持っていただける」「自身も地域の人のためになるという意識で働いている」「待ってくれている人のためにという使命感をもてる」といった貴重なお話も伺うことができました。訪問する車両にAEDが設置してあるのはドライバーとしても安心感があるとのことでした。
田園風景が広がる田舎では、AEDが多く設置されているわけではありません。「買い物を依頼しているお客様だけでなく、地域の方が困っていれば、どなたでも助けるつもり」というお話にとても感銘を受けた取材でした。
選任製造販売業者
オムロン ヘルスケア株式会社
〒617-0002 京都府向日市寺戸町九ノ坪53番地
URL : https://www.healthcare.omron.co.jp