設置事例など

救命事例

日立物流関東様の事例

2020年9月、株式会社日立物流関東 川越営業所様(以下、川越営業所)において男性が意識を失い倒れるという事案が発生。その際に従業員による速やかな心肺蘇生やAEDを用いた救命が実施され、救急搬送のあと、男性は一命を取り留めることができました。今回の救命活動について実際にAEDを使用した川越営業所のAさんや、設置に関わった従業員に、救命時の状況やAEDの重要性についてお話を伺ったのでご紹介します。

AEDを使った救命活動の重要性

日立物流関東 について

株式会社日立物流関東 外観

日立物流関東は、関東・甲信越・東北南部エリア1都7県に事業所を置く、日立グループをはじめ、医療・化粧品・食品・小売業界など企業向けの物流業務を受託する企業。
日立物流グループのビジネスコンセプト「LOGISTEED」の下、事業・業界を超えた協創領域の拡大を図り、コストパフォーマンスの高い物流サービスの提供により、広く社会に役立つ企業となることを経営の基本に捉え、地域社会そしてお客さまと共に成長していくことを目指している会社です。

AED設置までの経緯

川越営業所では、営業所内の安全対策の一環として、2017年にAEDを設置。その際に採用したのがオムロンのAEDでした。最初は倉庫内の事務所に1台設置していましたが、倉庫内の広さを考慮し、のちに1台増設。現在2台のAEDを設置しています。

救命時の状況

救命活動 イメージ

2020年9月10日13時30分頃、川越営業所1階の荷物積込み場で、取引先運送会社の男性が台車を使って荷物を運んでいる最中に意識を失い転倒。別の運送会社の従業員が、倒れた音で異常に気づき、積み込み場下の事務所にいた社員Aさんを呼びに行きました。

Aさんはすぐに倒れた男性に近寄り救命活動を開始します。反応と呼吸の確認を行いましたが、反応がなく通常の呼吸でなかったため心停止による「死戦期呼吸」と判断、周りにいた従業員に119番通報とAED準備を要請しました。続けて、Aさんは胸骨圧迫を開始するとともに到着したAEDの音声に従ってパッドを装着し、電気ショックと胸骨圧迫を繰り返し行いました。

119番通報から約15分後、救急車が到着し、男性は意識が戻らないまま病院へ搬送されました。

Aさんは「応急手当普及員講習」を受講した経験があり、時間経過に伴う救命率低下を理解していたため、119番通報から救急車到着までに15分ほど時間がかかったことが気がかりでした。

救命活動から3日ほど経ったとき、男性が勤める運送会社から「一命を取り留めることができた」と連絡がありました。

AEDを使用したAさんのコメント

安否については3日間ずっと気にかけており、「一命を取り留めた」と連絡が入ったときはホッとしました。できる限りのことはやったつもりでいましたが、当日の心肺蘇生やAEDの使用について自分の対応が適切であったか連絡が来るまではずっと不安でした。

今回の件で、自分の対処にわずかながら自信を持つことができ、またいざというときの対処を知っておくことと、AEDの重要性について改めて痛感いたしました。

救命活動を通じて気づいたポイント(設備担当Bさん)

1. AED設置場所の選定・周知の重要性を痛感

今回使用したAEDは元々まったく違う場所に設置されていましたが、事例発生の数カ月前、倉庫内のレイアウト変更に伴って、より人流の多い現在の事務所に移動していました。この設置場所の変更が、今回の救命活動で重要なポイントとなりました。もし元々の場所に置いてあった場合、発生場所から一番近いAEDを取りに行くのに2~3分、往復だと5~6分かかり、男性を助けることができなかった可能性も考えられます。

またAEDは事務所の目に付く場所に設置してあり、倉庫で働く従業員であれば誰でも場所を把握していたため、Aさんの要請に従いすぐにAEDを取ってくることができたことも良かったと思います。

2. AEDの講習の重要性

川越営業所では、AEDを設置した際、AED講習を受講し心肺蘇生法を学んでいます。さらに、救命活動を行ったAさんは、上記の講習のほか、消防署の「応急手当普及員講習」も受講していました。

いつ、どこで、誰が心停止で倒れるかわかりません。一人でも多くの方が心肺蘇生法を理解していることが重要と考え、今後はそういった講習を定期的に実施することも必要だと考えています。

3. 救命活動の連携について

男性が倒れたことに気づいた方がAさんを呼び行ったこと、Aさんがすぐに反応の確認と呼吸の確認を行い、周りの従業員へ119番通報やAEDの要請など、適切な指示と従業員同士の「連携」があったことも救助ができた大きな要因であると思います。

国士館大学大学院 救急システム研究科 科長
田中秀治先生コメント

今回の救命事例では、AEDを適正に配置していたことと、心肺蘇生法を確実に理解した人が組み合わさった結果、救命につながったものと思われます。心肺蘇生法の普及はかなり進んできていますが、AEDの適正配置については必ずしもそうとはいえません。AEDは心停止から早期に使われるように設置する場所を理解し、心停止してから2~3分でアクセスできる場所に配置されて、初めて最大限の効果を発揮できます。今回の事例の直前にAEDの配置場所を見直したとのことですが、その結果が功を奏したものと考えられ、素晴らしいと思います。AEDの配置を変更した場合は、変更先までのマップの掲載も必要ですが、倉庫などの広い空間には最寄りのAEDまで誘導するサインボードの設置も大変有効です。今後、このような適切かつ迅速な応急手当がさらにできるように、多くの方とこの情報を共有していただきたいと思います。

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